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6th SINGLE『WEAKNESS_MY BLOOD』
2015.09.02 RELEASE


【初回限定盤】 CD + DVD
[CD]
M1. WEAKNESS_MY BLOOD
M2. WEAKNESS_MY BLOOD instrumental
[DVD]
WEAKNESS_MY BLOOD (Music Video)
¥926+tax CCR-015



【通常盤】
[CD]
M1. WEAKNESS_MY BLOOD
M2. STARLIGHT SNOW
¥926+tax CCR-016



【TOKYO盤】
[CD]
M1. WEAKNESS_MY BLOOD
M2. 最果てのドール
¥926+tax CRLC-0007
※9/5 TSUTAYA O-WEST 当日会場限定販売



【OSAKA盤】
[CD]
M1. WEAKNESS_MY BLOOD
M2. ムービー・スター
¥926+tax CRLC-0008
※9/12 OSAKA MUSE 当日会場限定販売





※全国のCDショップ、またAmazon等、オンラインストアでも予約、購入が可能です。

※少年記HPより、楽曲の視聴が可能です。
是非HPをチェックしてください。



少年記OFFICIAL HP














僕が、僕の中での旅(闘いとも言える)の極点に到達した時、
外では桜のつぼみがふくらみ、昨日までの冷たい風が嘘のように
春の息吹へと変わっていった。

傷だらけの腕と脚は、不思議と痛みは感じなかった。




『壮絶、だったわね。』

「どうだろう。例えどんなに目まぐるしかったとしても、
外はこんなにおだやかだ。皆、春の訪れを喜んでいる。」

『そういうものよ。誰だって。
物語を共有できる事自体が、奇跡みたいなものなんだから。』

「そう…なんだろうな、きっと。僕は相変わらず、鈍感なままだ。」

『長く、壮絶だったと思うの。』

「そうだね。壮絶だった。」









『もう一人のあなたとは、どんな話を?』

「特に言葉は交わさなかったよ。ただ、優しい笑顔だった。」

『笑顔?』

「そう、笑っていた。」

『おかしいわね、笑顔はあなたの方に残っていたはずなのに』

「少しずつ、許してくれていたのかもしれないね。」








その極点からの景色はどんなものだったのか、
言葉では形容し難かった。








「君はこれから、何処へ?」

『さぁ、何処へも行くつもりはなくてよ。』

「仲介の役を務めてもらっておきながらこんな事を言うのはなんだけど、
これからどうするつもりなんだい?」

『そうね。私の役目は終えたわ。』

「役目を終えた」

『そう。寂しい?』

「少し」

『大丈夫。安心しなさい。私は何処へも行かないわ。
ただ、もう会えないかも知れないわね。』

「どうして?何処へも行かないのだろう?」

『あなたの、どこまでも広大な、あの精神の大空へ溶けてゆくの。』









その時、
僕は 幸せ とは一体何なのか、一瞬わからなくなってしまった。








『あら、幸せについて考えていたの?あなたも成長した。』

「不思議な感覚だ。何もかもいらないはずだったのに、
今はこの胸を揺さぶる感情というものに楽しみを覚えている。」

『それが本来のあなたでしょう。もうひとりのあなたも、喜びを知った。』








「君はいつ、あの空へ」

『もうそんなに時間はないでしょう。
私だってあなたの一部。だけどあなたと話せて嬉しかったし、一緒に旅を出来て楽しかった。』

「僕もだ。ありがとう。」































『そうだ、最後にひとつ』

「どうしたの?」

『あなたはもしかしたら、このカンバスを無くしてしまうかも知れない。』

「そう、なんとなく、わかっていたよ。」

『あなたならきっと』

「大丈夫だ。」



























花の匂いをのせた春の風が一瞬、
むせび泣くような声を上げているように感じた。


時代は巡り、何度同じ季節を迎えようとも、
あの時の温もりと匂いはもう戻らない。

手に取った瞬間に消えゆく煙(けむ)のような、
儚さを含んだ記憶が螺旋のように巡っていた。






「ありがとう。」








僕はその極点-星空と海が繋がる場所-で、
ただただ立ち尽くしていた。


柔らかな涙がひと雫、宙に舞って、
きらきらと輝いていた。